■目次
闇金で取り立てを行っているのはヤクザなのか?
闇金=ヤクザというのはなんとなく多くの人が持っているイメージです。
正規の貸金業者では考えられないような利息や返済サイクル、取り立てなどを考えると犯罪のイメージが強いヤクザが闇金をしていると思うのは当然のことですが、近年の闇金は少し違います。
近年増えているのはヤクザ風の闇金
今、闇金業者の中でも多いのが090金融です。
携帯電話を使って債務者と接触し、振込で貸し付けや返済を行っています。彼らが使用しているのはトバシと呼ばれる他人名義の携帯電話や銀行口座であり、近年の闇金はどこからも足がつかないようにして営業をしています。店舗も事務所も持たないので実態を掴むのは非常に困難な相手です。
090金融にいるのはヤクザ風の兄ちゃん
090金融で貸し付けを行っているのは、ちょいワルの兄ちゃんという風貌の人間です。もちろん闇金業者として貸し付けを行っている以上犯罪者であることに変わりはないのですが、繁華街などの街中ですれ違っても闇金だと気づく人はほとんどいません。
ヤクザではなく一般人に限りなく近いヤクザ風の人間が、警察や弁護士の目をかいくぐって逮捕と隣合わせの中で営業をしているというのが、最近の闇金の実情です。
申し込みの時や返済をしている時は、とても腰が低く、返済不能になり取り立てに遭うまで闇金だと気づかなかったというケースも多いので、いかに普通の人間のふりをして営業をしているかがわかります。
闇金=ヤクザではないのか?
近年は闇金=ヤクザの方程式は成り立たなくなっています。
2003年に八尾ヤミ金心中事件、五菱会ヤミ金事件という2つの事件が起こったことで警察による闇金の取り締まりが強化されました。
ヤミ金が関わった痛ましい事件
八尾ヤミ金心中事件は闇金による法外な利息と執拗な取り立てに追い詰められた家族が踏み切りに身を投げ投身自殺をした心中事件です。生活苦に陥り闇金に借りた1万5,000円の返済のために利息だけで毎週1万5,000円を支払う状態に追い込まれ、自宅や職場、友人宅や周辺住民にも脅迫的な取り立てを行っていたことがわかっています。
不法原因給付が明らかにされた事件
五菱会闇金事件は最大規模の被害を生んだヤミ金事件として有名で、平成最大のヤミ金事件とも言われています。被害総額だけではなく組織の大きさも最大規模となります。大暴力団組織の傘下にあった五菱会が関与しており、この団体の資金源が金融業でした。20を超える金融グループ、1000を超える店舗が存在し、五菱会系のヤミ金が抱えた顧客は全国で4万人にも上るとされています。入手した多重債務者リストを元にダイレクトメールを送り、電話や銀行振込などを使って顧客と顔を合わせることなく営業を続けた五菱会系のヤミ金は被害者が急増したこと、ヤミ金の収益が暴力団の資金源となっていたことから警察が一斉摘発に乗り出します。
五菱会ヤミ金事件は最高裁の判決で被害者がヤミ金に支払った金銭の全額について損害賠償請求を認め、ヤミ金から被害者への貸し付け金額は損害額から控除しないとしました。現代ではヤミ金には元本はもちろん利息の返済もする必要はないと広く知られるようになりましたが、ヤミ金が貸し付け金元本の返還を請求することはできないという不法原因給付が最高裁によって明らかにされた事件でもあります。
この2つに事件によってヤクザが行っている闇金への警察の取り締まりは強化され、現在は闇金=ヤクザではなくなっています。
ただし、すべての闇金がヤクザではないという保証はなく、借りた先がヤクザが取り仕切っている闇金だったために、取り立てや嫌がらせに遭っているという人は今も存在しており、相手がヤクザ風なのか、ヤクザなのかによって闇金被害の相談先は異なります。
ヤクザは警察に!ヤクザ風は弁護士に!
闇金被害の相談は闇金に特化した弁護士や司法書士というのが現在の考え方ですが、相手がヤクザなのかヤクザ風なのかによって最適な相談先が異なります。
ヤクザの場合は警察に
利用している闇金がヤクザであれば、相談は警察の管轄になります。とは言ってもヤクザなのかわからないという場合もあるので、まずは闇金被害について闇金に強い弁護士や司法書士に相談し、ヤクザであることがわかれば警察に相談しましょう。
ヤクザ風の場合は弁護士に
ヤクザ風の闇金は警察では実態を掴むのが難しいため、相談をしてもなかなか動いてくれません。ヤクザが絡んでいれば警察も動いてくれるのですが、090金融などヤクザ風の闇金の場合は闇金に強い弁護士や司法書士に相談しましょう。
他人名義のトバシと呼ばれる携帯電話は銀行口座の凍結も闇金に特化した弁護士や司法書士であれば圧力をかける材料として利用し、警察も弁護士や司法書士が介入することで動きやすくなります。
ヤクザ風、ちょいワルな風貌の兄ちゃんであることから、無視して放置していればそのうち諦めるだろうと考える人もいますが、ヤクザ風の人間は組織に属していないことから立場やメンツなどはありません。実際に何をしてくるかわかりません。逮捕される前に一泡吹かせてやろうと企んでくるケースもあるので、闇金に関わっているのであれば早め早めに闇金に特化した弁護士や司法書士に相談するようにしましょう。